カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第70回

清ちゃんのつぶやき(その57)硬い話、やわらかい話(その2)



 だんだんとフレームが丈夫になっている。丈夫になってくるだけなら乗員にはストレスが増えてくる。これを補うのが設計である。同じ素材を使っていてもフレーム設計が違えば乗り心地が変わってくる。チェンステーを20ミリ長くするだけでも違う。部品にしても同じである。部品一つ変えただけで、乗り心地が柔らかくなったと感じる事がある。 



 フレームや部品にはアルミ合金が使われている。少し簡単にこの話をしてみたい。自転車には使われる部分に応じたアルミ合金が使われている。一口にアルミ合金と言っても一円玉より柔らかいものから、超々ジュラルミンと呼ばれるものまで様々である。また、鍛造や鋳造といった製法面からも使われる材質が違う。



 レースやツーリングで万が一、転倒してしまったとする。一番最初にやられるのはブレーキレバーである。もし、この部分が硬い材質を使ってあるとしたら、折れてしまう事が多い。そうすれば体にダメージがなくとも、レースやツーリングの続行は不可能になってくる。曲がるだけなら、多少使いづらいかもしれないが走ることはできる。このように使う部分に応じて使い分けられている。



 硬い材質だけがベストというものではない。よくフレームや部品に6000とか7000番の数字が表示してある。アルミ合金には1000から7000番までのグレードがある。主に板材やパイプ材に加工してある。数字の大きい方が硬いと思ってもらっていい。自転車には主に2000番、6000番、7000番系のものが使われている。7075と呼ばれるものが一番硬いとされる。ジュラエースのギヤ板等に使われているが、硬いものは加工や製法にも手がかかる。そのためコスト面では上昇してくる。



 ギヤ板ならばロスを防ぐために硬い材質が必要になってくるが、ハンドルやフレームに関しては多少のしなりが求められる。そのため、少し柔らかめの材質や厚みで調整することになる。こうした事を知らずに7075がベストだと思いこんでいる人たちも一部にはある。また、メーカーでもその心理を利用して広告でうたっている場合もある。自分の使っている自転車のフレームや部品に6000番系の表示がしてあっても劣等感を持つ必要はない。それなりにちゃんとした材質、設計はなされているはずである。

第71回へ続く...

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