カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第330回

清ちゃんのつぶやき(その273)キャンピング車 その3



 暮れから、合間に作業を進めていたキャンピング車の引き渡しが先々週に終わった。あと作業をしなければいけないものが数台残っているが、早めに済ませてしまわなければならない。徐々に今春の通学用自転車が売れてきているからである。もうすぐしたら春需本番となってくる。また、皆さんにご迷惑をかける季節になってくる。



 今回、キャンピング車の作業をするにあたってのコンセプトは“日本を出発する時の気持ちを思い起こせる状態にする”事に決めた。走れるようにすると云うのが今回の依頼ではあるが、それだけではいけない。久々に乗った時、そうだ、あの頃は・・とか、あの時は、と云った思い出が甦ってくるようなものにしたかった。そして、出発前の期待と不安の入り混じったフレッシュな気持ちを思い起こして欲しかった。



 そんな事で部品を外す前に各所に印をつけておいた。ハンドルやステムの位置、ブレーキレバーの位置、シートピラーの位置等をチェックしておいた。数十年ぶりに跨った時、昔と同じポジションにしておけば、体がそれを覚えていて、いろんな記憶が甦ってくるのではないかと考えたのである。そういった状況で部品の交換を進めていった。



 サドルに関しては皮が伸びて開いてしまい、元に戻せない状態だったので、新しいものに交換した。ただ、自転車の状態が状態だったので一般的な廉価なものにしておいた。ペダルは左右が違っていたのと、トゥクリップの錆がひどく、弾力性も著しく低下していたので、思い切って新しいものに交換した。以前はクイル型だったが、今回は現代のロープロファイルペダルを付けた。乗った時、サドルの感触が少し違うのとペダルの違いによる足首の回り具合が違うのだが、以前よりは乗りやすくなっているだろうと考えた。その為、サドルポジションは若干ながら変更したが、昔の思い出をスポイルしない程度に留めた。



 トランスミッションについては基本的にはそのまま、チェンホィルや前後ディレーラーは磨いただけで使った。ただ、フリーホィルとチェンは新品、フリーホィルに関してはダイヤコンペで台湾製の5段のものが1000円程度である。今、見ると5段なんて歯間が広く、スカスカに感じる。歯厚は昔のものに比べれば少し薄い。おかげで6,7段用のチェンがそのまま使える。BBはボールとシャフトを新しいものにした。これだけでかなり新しい乗り心地になり、新鮮に感じるはずである。



 車輪に関しては年末のラージフランジハブで書いたように、ハブは調整してそのまま使い、リムとスポークを新品にした。車輪がきれいだと気分が違う。リムはフラットのものが入手できなかったので私が個人的に持っていたアラヤのリムを使用した。タイヤは650A、パナレーサーのコルデラヴィである。ダブルレバーも前回書いたようにサンプレをそのまま使ったが部品(ワッシャー類)が不足していて、いくつかのワッシャーを組み合わせて動くようにした。ワイヤーもシマノのタイコを少し削って使った。



 泥除けは大きな凹みは少し叩いて修正したものの、そのまま使う事にした。フロント泥除け先端に貼ってあるJAPANのステッカー、それにリヤに貼ってあるJACCのステッカーは残しておきたかった。世界一周を成し遂げたと云う証でもある。本当は泥除けの凹み一つでさえも思い出があるだろうと思い、耐水ペーパーで磨くだけにして、そのまま組み付けた。



第331回へ続く...

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