先月下旬、600kmブルベが開催された。お客さんの中にもHさんとTさんの2名が参加、今回のブルベ、とんでもないコース設定だった。発表されたコース図を見ただけでうんざりした(自分が走るわけでもないのだが・・・)。福岡県からスタートして別府、大分と進み、竹田へと上る。その後は高千穂や清和と通り、砥用から五木を通り人吉である。それから八代を抜け、旧中央町から益城町を大津、菊池へ行く。それから更に山越え北上してゴール(スタート)地点へと向かう恐るべきコースだった。 |
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九州山地の中を通り(それも夜中!狭く真っ暗な道、路面も一部悪い!)幾多の山々を越え進んでいかなければならないのである。当日の天候、日中は真夏の日差し、それより大変だったのが台風の余波によるにわか雨と風だった。Tさんは残念ながら約470km地点(これでもすごい)でリタイヤ、Hさんは見事、完走と云う結果となった。44名エントリーで12名しか完走していないのである。 |
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このような結果になったのは早めに各PCを通過した人達に有利な天候だったというのも一つの理由である。時間が経つにつれ、にわか雨に遭う確率や徐々に風が強くなってくるという確率が高くなった。誰しも経験した事があるだろうが、風はつらい。にわか雨くらいなら通り過ぎるのを待てばいい。少しくらいなら雨中走行でも構わない。でも風だけはどうしようもない。 |
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自転車の走行抵抗のほとんどは空気抵抗である。ハブやBBの回転部抵抗なんて微々たるもので、他にもタイヤと路面の抵抗もあるが、空気抵抗に比べれば比較にならない。クルマに乗って窓を開け、手を出してみれば分かる。無風状態で時速40kmで走っていても、それ相当の風の抵抗がある。無風状態でもそれなら、風の強い日なんて手首が返されるくらいに抵抗がある。これを我々は体全体で受けているのである。クルマの後ろにつくだけでも楽になるのはだれでも経験があると思う。 |
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自転車にとって最大の敵である風に対して、人はエアロダイナミクスといった手法で様々な試みをしてきた。レース用のタイムトライアル車なんてその成果であり、時代と共に変遷している。全面投影面積を小さくし、空気の流れをスムーズにすると云うのが手法だが、前からの風抵抗には有利に働くかもしれないが、それはパワーのある人が乗った場合であって、脚力のない人にはあまり役にはたたないかもしれない。理由は翼断面が横風に対しては逆に不利になるからである。これをコントロールできるテクニックやパワーが必要になってくる。ロードでフロントホィールにディスクを使わないのも同じ理由による。ディープリムでさえも横風に対しては結構車輪をとられる。 |
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早く走れるためにと軽量化に励んできても、それが風に対しては不利になる事もある。軽い自転車だと、それをコントロールするためにかなりの労力を使ってしまう。風の強い日、トンネルに入るとほっとするが、出口には要注意、いきなり強い横風がくる事があり、本当に流されてしまう。軽すぎる自転車やツーリング車のようにバッグを付けたりしていると尚更である。よく昔から「風に強くなるためにはどうしたらいいんでしょう?」と聞かれていたが、「前傾姿勢を保ち、ただひたすら我慢してペダルを踏み込むしかないよ」と答えていた。そうそう前面投影面積だが、自転車よりライダーの方が風を受ける面積は広い。痩せるのも有効手段の一つである(笑)やせ過ぎるのも風に流されやすい。ほどほどがよろしいようで・・・。 |