新入社員もそろそろ会社や通勤にも慣れてきた頃と思う。皆さんの周りの新入社員はどうだろうか?カガワにも2名の社員が入社、現在、浄行寺店で修行(?)をしている。今年に限らずだが、新人にいろいろ覚えさせるのは本当に難しい。どんな職業でも同じだろうが、覚えていかなければいけない事が山ほどある。自分もそうだったが、一年間は無我夢中だった。自転車が好き(正確に言えば、自転車も好きといった感じだった)というだけで入社したが、いきなり開発課、何からやっていいのか、具体的にどんな仕事をすればいいのか、はたして自分にできるのだろうかとか、入りたての頃は不安もあった。 |
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頭の中で考えたものを製品化させるためにはものすごく手間がかかる。普段何気なくある身の周りのものだって、それが手元に届くまでには多くの人の手がかかっている。例えばボールペン一つ、設計する人、製造する人、流通させる人や販売する人、いろんな人が関わっている。直接関わらなくともそれらの人達を雇っている会社の総務課や経理課等も関わってくる。製造について言えば材料を手配する人や金型を手配する人、生産設備や梱包に携わる人や出荷する人までが関わってくる。自転車の部品一つ、いろんな人や部署が関わっている事を学んだし、その面白みも味わう事ができた。そんな初年度だった事を思い出す。 |
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さて、これまでも何人もの新入社員を見てきた。以前の会社では総務部に頼まれて新人に技術的な面を教える教育係もやっていた。今でも似たようなものだが、教えるのに苦労する一つが、専門用語や名称である。それも統一した用語や名称でない場合も多い。極端な話、「倉庫に行ってタイヤを持って来て!」と言ってもタイヤというのが何か、どんなものかを知っていなければ使いものにならない。これは自転車に興味を持った人、誰しも最初に経験していると思う。カタログや雑誌を見てもメーカーや出筆者によって表現が違う。友人・知人の話す用語も違う。 |
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部品名称一つ、“トップチューブ”を人によっては“上パイプ”と呼んでみたり、“チェンホィル”を“ギヤクランク”と書いてあったり、単に“右クランク”と言っていたり、シマノでは”フロントチェンホィール”と表記してあったりする。昔の箱だと”ペダリエール”と書いてあったりもする。同じものでも違った名称が多い。“後変速機”だって“リヤディレーラー”と呼んだり、“リヤメカ”と呼んだりしている。初めての人が戸惑うのも理解できる。それに英語、米語、仏語、伊語とかの用語が加わると更に混乱してしまう。 |
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これはもう本人のやる気に頼るしかない。覚えていくしかないのである。自転車が好き、自転車を好きになる、そんな事で覚えるスピードも速くなる。どんな職業でも仕事そのものに興味を持たせるようにすればどんどん覚えていく。「部品倉庫からチェンホィルを持って来て!」と叫んだ時、「グレードは?」、「色は?」、「クランク長さは?」、「歯数はいくつですか?」と答えてくれるようになると一人前になった証拠かもしれない。 |