カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第263回

清ちゃんのつぶやき(その212)平戸



 先週の続きである。栗の木峠を下ってから平戸に向かった。世知原を通るのだが、そういえば昔、世知原線ってあったよなぁ等と考えた。栗の木峠に向かう佐世保市外にも柚木線というのがあった。長崎は県北に小さい炭鉱が無数にあった事などを思い出した。そして石炭を運ぶ手段として本線からの引込線や支線があった。もちろん旅客輸送もやっていた。炭鉱で働く人達やその家族でそれらの町も賑わっていた、そんな時代もあった。


栗の木峠の続き
 これは熊本県でも同様で荒尾駅横から終点の緑が丘駅(炭鉱社宅が建ち並んでいた)まで旅客電車が走っていた。今、その跡地はグリーンランドと名を変えて遊園地になっている。線路跡はサイクリングロードとして一部活用されている。今でも時折、側を通ると祖母とよく電車に乗っていた事を思い出す。炭鉱によってもたらされた繁栄と衰退、九州北部はその恩恵と悲哀を味わっている。


平戸大橋
 そんな事を考えながら平戸大橋を渡る。平戸、懐かしき街である。実は卒業した高校は平戸である(入学した高校は別)。海の見える城下の校舎(城の一部と言ってもいい)、平戸瀬戸が見え、秋には“あご(トビウオ)漁”の船が見える学校だった。ある意味、青春の一時期をここで過ごした。小さな街だが、鎖国の時代、長崎が唯一の海外との貿易港になる前は、ここ平戸が海外に通じる唯一の港町だった。長崎もそうだが古来より海外と接しているためか、見知らぬ人への対応や異文化に対しての抵抗がない。おかげで転校を繰り返していたが、どこでも親切だったし、すぐにその土地に溶け込むことができた。


平戸城と港


オランダ商館
 先ずは桟橋にある広場に行く。お城と海、大好きな風景である。ここの観光案内所で今夜の宿を決める。同窓生のやっているホテルもあるが少し遠い。朝食付ビジネスホテルにした。自転車でものの数分、荷物を置いてちょっと出かける。街中を走ると昔っからの所もあれば変ってしまったところもある。観光案内所でオランダ商館が復元されたと書いてあったので行ってみた。夕方で閉館されていた。次回はちょっと寄ってみようかと考えた。


高校通用門


田平
 次の日、朝から曇り空、TVの天気予報では雨、それも午後からは本降りになると言っている。ホテルを出てすぐ、小雨が降ってきた。カッパを着るほどでもなく、ウインドブレーカーを羽織って走る。高校の裏門(通用門)の所で写真を撮って、平戸大橋を渡る。徐々に路面も濡れてきた。田平からはカッパに着替えて走る。江迎の醤油工場も昔のままである。中学の頃は佐々町にも住んでいた。よく自転車で走っていた。懐かしい道である。


鹿子前1


鹿子前2
 佐世保手前から、そのまま市街地に行くのも交通量が多いだけだと思い、相浦から大好きだった鹿子前に向かう。昔と変わらない澄んだ海があった。雨は降っているものの 小学校低学年の頃、佐世保に引っ越してきた時、こんなに綺麗な海があるんだと驚いた事を思い出す。たくさんのアメリカ人が散歩していたりしていて子供心ながらにカルチャーショックを受けた。何だか今回は感傷旅行みたいになってしまった。たまには、こんな昔を思い出すような旅もいい。



第264回へ続く...

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