カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第253回

清ちゃんのつぶやき(その202)専用品(サドル&ピラー)



 2012年モデルも少しずつ顔を出し始めた。先日、横浜にいる甥がロードバイクを欲しいと言ってきたが、希望する自転車がことごとく生産完了になっている。業界の事情を知らないと、今年モデルは今年いっぱい入手できると思いがちである。知らない方々に説明すると秋に次年度モデルが発表され、年内から来春にかけて出揃うと考えてもらえればいい。夏頃にはその年のモデルは生産終了になり、次年度モデルを生産する事になる。今年は例年になく、多くのモデルが早くに今期の生産を終了し、車種によっては2012年モデルが入荷してきている。そのような現状である。



 さて本題に入るとして、自転車の場合、部品が壊れたり、グレードアップ、カラーコーディネートする時、部品同士の互換性といったものが重要になってくる。どうしてもこの部品を取り付けたいのだけれど、寸法やネジのピッチが合わなくて取り付けられない、または取り付けてもうまく機能しないといった事がある。自転車の場合、結構、互換性といったことを考慮して製品が作られていることが多い。それでも、時として、他のものとは組み合わせることができない、いわゆる専用品と呼ばれるものがある。今日紹介するのはそんなものの例である。



 今回はサドルとピラーだけをとりあげる。サドルとピラーであればメインはサドルである。このピラーを使いたいからそれ用のサドルを選ぶと云った人は少ない(ほとんどいない)。最初のものはアルミ板ベースのサドル。一見、おっ、イデアルと思いきや実は国産のフジタである。もちろんベースとなったのはイデアルなのだが、こちらはバックスキンである。これは修理の自転車に付いていたものでお客さんのものであるが、このようなサドルを付けていることで、かなりの自転車好きだった事が判る。



 何で棒状のアルミではなく、板状のアルミなの?と思われる方がおられると思う。今はチタンだのカーボンレールのものもあるが、このサドルベース、結構重要な役目をはたしている。普通鋼の線材だとしなって曲がってしまう。それで硬めの線材を使ってある。それを軽くするためにアルミでというと強度上の問題から太くしなけれなならない。フレームパイプがアルミになってから太くなったのと同じような理由である。実際、アルミ線材のベースのものもあった。ただ、すぐにへたってしまうものだった。



 そこでフランスのイデアルが出したのがアルミを板状にしたサドルだったが、当然のようにピラーは専用のものになった。面白みはあったが普及はしなかった。もう一つはトラック競技者や街乗りピスト好きにはご存じの競輪サドルである。ワイヤーベースが狭く40ミリほどしかしかない。一般のサドルだと45から47ミリくらいある。トラック競技、特に短距離だとサドルに座っている時間は非常に短い。そのためサドル幅も狭く作られている。当然、ピラーも専用品になってしまう。この他にも今はサドルの真ん中に穴が空き、そこから、ピラーに固定するようなものもある。このように、サドル一つとっても自転車というのは面白いものである。



第254回へ続く...

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