車輪はすでに作っておいた。ブレーキレバーなどのコルナゴ彫刻パーツ数点はすでに用意しておいた。ペダルはこれを機にスーパーレゲロに交換したし、その後、リヤディレーラーもヌーボレコードからスーパーレコード(77刻印)に替えた。現在の形になるまでにはステムも3本目である。最初は161回口絵写真のものが付いていた。ところが、この3tのステム、突出し部分の幅が細く、ある日、移動中のクルマの中でステム裏にクラックが入っているのを発見、その日は安心して走れなかった。後日、新しいものに交換した。こちらは改良されたのか突出し部分が少し太くなっていた。 |
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更に数年後、ハンドルバー幅を10ミリ広いものに替えた時、ステムもブラックのものに交換した。この時、ステムを少し上げた。今回の写真より、以前は20ミリ程下げていた。フォークを抜いてコラムを見ると当時の跡(膨らんでいる)がはっきり判る。年齢と共に体力も衰えてきていた。フォームも当然変化してくる。しかし、交換したステムだが、ブラックパーツだと彫刻するだけで済む。それまでのように彫った後に色を注す必要がなくなってくる。ここにくるとそんな合理化の波が押し寄せるようになる。 |
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実はチェンリングにエルネスト・コルナゴの文字とCマークにクローバマークが彫ってある。5か所あるが、一か所だけ、失敗がある。Cマークとクローバが繋がっている。彫る時に刃先を上げるのを忘れそのまま移動させている。こんな人間らしいところが何とも言えない。その後、カンパのスーパーレコードは新型になり、マークも印刷になってくる、彫刻機で彫り、色を入れる必要がなくなってきた。刻印や彫刻といったものからプリントに、ある種、一つの時代が終わりかけた、そんな時期でもあった。そんな時代のコルナゴである。 |
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今、コルナゴのラインナップに新しく加わった同名のモデルがあるが、若者向けの街乗りピストである。スチールの自転車という以外、共通点はない。新しいフレームを入手した当時、ノーマルのコルナゴ、スーパー、メキシコと3つのラインナップがあった。ノーマルはよく覚えていないが、完成車ではスーパーがカンパのレコード、メキシコがスーパーレコード装着モデルだったと思う。この後、フロントフォークがメッキになり、なで肩のものになっていく。フレームも白の同抜きになったりして変遷していく。所謂、サローニの頃である。これらの系脈は凝ったラグのアラベスクを経て、変形パイプ、ストレートフォークのマスター、マスターXライトと現在まで続いていくことになる。 |
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先にコバルトブルーのフレームと書いた。写真を見て、東京時代の私のコルナゴを知っている人からすると、あれ?こんな色だっけ?と感じた人もいると思う。変色しているのである。それもきれいに裏の裏までである。フォークの裏やエンドの内側、全て変色している。保管は玄関の横、直射日光は当たらない。何台か置いているので少し陰になっていた。にも関わらずである。数台ある他の自転車は変色していない。コルナゴだけである。 |
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一昨年頃から何か変だとは思っていた。去年も高知のYさんの店にお邪魔した時、変色してきているみたいと話した。「そりゃ、年齢と共に眼が悪くなってきてるんよ」と言われた。今回、陽のあたる所に引っ張り出してみたがやはり変色していた。鮮やかさがなくなっている。唯一、フロントディレーラーのバンド部に昔の色が残っていた。とにかく、不思議な事があるものである。 |
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安い、中国製のママチャリならいざ知らず、イタリアのコルナゴである。磨けば復活するものではない。クリア全体が酸化かなにかして変色したのかもしれない。今は艶のない、紺色でもなく、妙な色である。濃い色が抜けていくのなら納得もできる。誰か鮮やかな元の色に戻す方法を教えてもらえないだろうか?デカール類があれば再塗装という手も考えられる。少し前のヤフオクでデカールが出ていたが、色が黒。ブルーのフレームに黒文字だといけない。シートのチャンピオンラインには”RECORD ORA MEXICO 1972”の文字が小さく入っている。メルクスがメキシコでアワーレコードを打ち立てた記念である。これも捨てがたい。それに古いコロンバスの転写マークも必要になってくる。ともかくも、この変色が今回の一番のショックだった。 |