先日、「最近、どうもハンドルが遠いような感じがする」と語る知人がいた。ステムを短いものに交換してみるように伝えたところ、数日乗ってその効果が現れた。たった5ミリではあるが楽になったということで、先ずはめでたし、めでたしである。この知人、40歳代なのだが自転車歴はそう長くはない。年齢や体力で乗る時のポジションも変化してくる。実際、自分でも昔乗っていた自転車を見て、よくこれだけの前傾姿勢をとっていたものだと感心する。ハンドル高さも年々、数ミリずつ上がるようになってきたりする。 |
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以前の仕事の関係でハンドルには様々な形で関わってきた。人によって好みがあり、深めのドロップが好きだったり、浅めのものが好みだったりする。また、リーチ(突出し)も好みが分かれるところである。近年、女性や初めてドロップハンドルに乗る人のためにショートリーチ、浅目のドロップというハンドルバーが出回るようになってきた。これだと姿勢変化が少なくて乗りやすそうである。 |
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もちろん、レースでは深い前傾姿勢をとっていかざるを得ない場合も多いので、深いドロップが必要になってくる。ただ、このドロップ(深さ)、180cmある人と160cmの人では同じ位置を握っても乗車フォームが変わってくる。完成車を選ぶ場合にはこの点も注意してほしい。本来、フレームサイズによって、小さなサイズのものには浅めのドロップ、大きいサイズのフレームには深めのハンドルバーを使うべきである。これはクランク長さと共に重要なポイントである。ステム長さは変えてあるものの、ハンドルは同じものを使っているといったものが多い。ハンドル幅にしても然り。 |
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何十年か前の日本の自転車はフレームサイズによって、クランク長さは当然として、ハンドル幅やステム長さもそれに応じて変えてあった。ところが、ハンドルのドロップやリーチに関しては同じものだった。製造側やアッセンブルするメーカー側の管理やコストの都合があった。ただ、今になって考えると、設計、製造に携わっていた関係上、上級車ではそこまでやっていた方が良かったのかと思うようになってきた。現在の自転車、フレームサイズも大雑把になり、自分の体に合わせた細かいセッティングが難しい。 |
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ポジションをよく理解しているような店やチーム・クラブに出入りしていればよいが、そうでないと乗りにくい、力の入らないポジションのまま乗り続けなければならない。街で見かける、きつそうなカッコ悪いフォームのまま乗っている人達を見るたびにいろんなことを考えてしまう。乗る人によってフォームは違う。例えば、同じ体型の二人が同じ自転車に乗っても体力や技術レベル、使用方法の違い等で全く異なるセッティングになる。 |
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そんなセッティングに重要な役目を果たすのがステムなのだが、あまり注目されることはない。ハンドルを適正位置に固定するための役目を担っているのだが、一旦ポジションが決まると気にしなくなる。それにしても今主流のアヘッド方式、ハンドル高さのセッティング時には本当に面倒である。体力がなくなってきた時、ほんの少し、ステムを上げたい、そんなことまで考えてフォークコラムを切断しておかねばならない。 |