カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第190回

清ちゃんのつぶやき(その149)芯



 休みの日、またもやランドナーで走った。今回は家を出て、嘉島から砥用(ともち)までである。熊延(ゆうえん)鉄道と言っても知らない人も多いと思うが、大正から昭和にかけて南熊本から砥用町まで走っていた路線である。昭和39年(1964年)東京オリンピックの年に廃線になった。今の浜線バイパスに沿って嘉島、御船、甲佐、砥用と続いていた。名前の由来は熊本から宮崎県の延岡まで繋ぐ計画があったという。当時、壮大なロマンを描いていた人達がいた。なくなってから46年の歳月が経っている。



 嘉島のクレア横のヒライ横にも軌道跡が残る。途中、駐車場になっていたりして寸断されてはいるが、小さな川の上に錆びついた橋脚が残っていたりする。軌道跡などは未舗装路になっていたりもする。こんな時はやはりランドナーである。砥用からの帰り、甲佐の河原にも寄ったが、川石のごろごろしている所でも安定している。もちろん、それなりのテクニックは要るが、そこは昔とった何とやらで走りきる。ぬかるんだダートとか未舗装路の林道とかを走りぬいた経験がものを言う。



 そんな具合でランドナーの魅力にはまっている最中である。その内、清ちゃんの紀行文でも作ろうかと考えている。とにかく、構えないで走るのが楽しい。それに軽いのである。軽いと言っても自転車の重量ではない。芯が出ているからである。芯?何それ?と思われる方も多いと思う。よく考えてほしい。自転車(二輪車)が走るうえで一番重要な事は前と後の車輪が垂直に同一直線上にあるという事である。これをフレームの芯が出ていると言う。センターが出ている等とも表現される。フレームは前後輪を同一直線上に持って行くための役割を果たす。何だ、そんなの常識じゃんと思われた人、実際、どのくらいの割合でそれができているだろうか?最近少し疑問に思う。



 海外メーカーで30万円以上するようなフレームの芯が狂っていたといった話も聞く。狂った芯を修正するのは技術と経験が要る。フレームビルダーや製造工場では特殊な冶具を使い修正する。フレームを作るのに、パイプを冶具で固定し溶接をする。ただ、溶接の熱でフレームが歪む。それを修正するわけだがスチールだと比較的簡単にできる。ただ、今のアルミやカーボンに関してはやりにくいだろうと思う。アルミだとなかなか曲がってくれないだろうし、カーボンに至ってはエンドのアルミ部分しか金属はない。修正と言っても難しい。カーボンは溶接さえしないものの、でかいオーブンで熱は加える。金型が正確にできていてもやはり冷却によっては狂いは生ずる。



 実際、芯を見るのにはちゃんとした測定機材が必要になってくる。大き目の定盤、Vブロックやマイクロメーター等である。普通の自転車店でも正確な測定は無理である。ましてや一般のユーザーでは到底、不可能である。高価格だから芯が出ていて、低価格だから芯が出ていないというようなものではない。もし、今乗っている自転車、何となく走りが重たいと感じている方、ひょっとしたらフレームの芯が狂っているのかもしれませんよ。



第191回へ続く...

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