カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第176回

清ちゃんのつぶやき(その135)ランドナー再生記 その3



 ホィールだけは準備していた。デオーレLXや他のパーツも少し磨いておいた。簡単に組み付けしてみる。全体のシルエットが見えてきた。ちょっとリヤセンターが長いことに気付く。あと15ミリ程短い方がバランスはとれるものの、今さら言っても仕方がない。これはハンガー下がりにも言える。この手のものだと、あと10ミリ下がっていてもおかしくはない。フレームだけ見ていると分からなかった事である。ともかく、フレームがオレンジ色なのでLXのブラック部分が少し引き締めてくれる。



 ただ、チェンホィルだが、ここでふと思った。トリプルでブラックパーツも悪くないが、クランク長さ170ミリである。普段ロードでは170ミリを使っているが、ランドナーに170ミリはないだろう等としばらく考えた。ツーリング用で165ミリのものを捜すことにした。すぐに見つかった。スギノPXである。クランクの断面形状はもう少し四角っぽいものが好みだが、これでもランドナーの味は出せる。ダブルというのもいい。LXを組み付けながらトランスミッションをMTBパーツで組んでいてもいいのだろうかと少し疑問に思っていただけにPXを組み付けたら何か安心した。細身のクランクはクロモリパイプの太さにはちょうどいい。考えてみれば、脚力も弱っているのだから太いクランクなんて必要ないんだよなぁ等と一人あれこれ思った。





 組み付けはなかなか進んでいかない。この半完成車を見た人達、中年男性達だが、皆、自転車少年だった頃のことを思い出してか懐かしそうな顔になる。子育てに追われ、子供が高校生、社会人になるようになった時、ふと自分の少年時代、青春時代を思い出す。たまにはそんな事もあっていい。そして、また自転車に乗りたいと思うようになったら本物である。大人の走りができるようになっているはずである。少年時代、自転車に乗った趣味の良いおじさん、何時かそんな大人になれたらなという尊敬の眼差しで見ていた。気がついたら、そんな人達と同じような歳になっていた。ランドナーは本当は大人の自転車である。





 話が脱線しそうになったが、なかなか進んでいかないのには理由があった。取り付けるパーツに迷いが出るのである。組む前はこれにしようと決めていたのだが、実際に組み付けたり、あててみたりすると、そうじゃないよなぁ等と思ってしまう。先のチェンホィルだってそうである。シフトレバーもそうだが、LXにはダブルレバーはない。チェンホィルをスギノにしたから、ダブルレバーはサンツアーだなと考え装着してみる。ところがここで迷いが起きる。ディレーラーはシマノに決めたのにここでサンツアーを使っていいのか?と悪魔のささやきが聞こえてくる。コレクションを捜すとシマノのレバーもいくつかある。インデックスの魔力に負けてシマノの中級品を使うことにした。印刷が擦れて見えないので何のコンポか分からないし、思い出せないがそう高くないものには間違いない。



 他にもいくつも迷った。ハンドルステムだが、日東の初期のパールのものを使おうとしていたが、突出し80ミリ、少しばかり長い。最初、フレームだけの時に測ったが、測り間違いをしていて、トップチューブで10ミリ程長い。珍しい70ミリのブラックパールもあるのだが、それでももうちょっとである。結局、同社のダイナミックの60ミリステムに落ち着いた。ペダルも迷った。極東のプロエースもある。昔ホルクスのロードレーサーに付けていたものである。ガタもなく、まだ現役で使えるものの、結局、ミカシマのシルパンにした。こちらの方が痛み具合が少なかったためである。少し使っていたのでこれも磨いた。写真は上と下、ビフォー、アフターである。トゥクリップは同じミカシマのアルミ製。ストラップだけはメイドインジャパンの掟を破り、カンパのものにした。国産の硬い皮質と違って柔らかいしなやかな感触が何とも言えず心地良い。(136に続く)






第177回へ続く...

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