カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第175回

清ちゃんのつぶやき(その134)ランドナー再生記 その2



 後はパーツのアッセンブルである。付いていたパーツも磨いたら使えそうなものやそうでないものもある。フレームの塗装は新しくなるものの、所詮中古である。またそんな高価なフレームではないということで、ブレーキシューやワイヤー、バーテープといった消耗品は新しいものを使うが、パーツは手持ちの使い古しのものや付いていたものを磨いて使うことにした。また、今回はフレームに合わせ、中級品のパーツで揃えようと決めた。



 ここで問題になるのはサンツアー系で組むか、シマノ系で組むか、はたまたフランス部品で仕上げるのかといったことだった。それぞれに何らかのパーツは持っている。サンツアー系で組もうとしたが、意外とサンツアーのロングゲージ(GT)のリヤディレーラーを所有していない事に気がついた。持ってはいたが、知り合いのレストアに使ったり、あげたりしてなくなっていた。フランス部品もディレーラーはあるものの、持っているマファックのカンチブレーキは新品で使う気がしないし、何より今のものに比べると効きが悪いうえに、左右調整もやりにくい。そんなことを考えていたらシマノの古いデオーレXLのコンポを見つけた。まだメイド・イン・ジャパンの頃のものである。幸い、ハブにはシマノが使われている。グレードは違うが使える。そんなことでシマノに決定して磨き始めた。



 1月も終わろうとする頃、塗装ができあがったという連絡があった。2月初め、引き取りに行こうとする日、伯父が亡くなったという事もあり、慌ただしく取りに行った。おかげでゆっくり話もできなかったが、ここで面白いことを聞かされた。ダイナモコードを通す穴があったのである。剥離作業をしている時、リヤの左シートステーにダイナモ取り付けのねじが溶接してあった。普通、これだと左シートステーと左チェンステーのエンド部近くに1ミリくらいの溶接の際のガス抜きの穴が空いている。この穴を利用してBBシェルにコードを導くわけだが、その穴が見当たらない。これはダイナモから上方向に、泥除けの巻き返しを使ってコードを導くようになっているものだと思っていた。



 知人も預かってサンドブラストをかけている時に気がついたようであるが、左エンドに縦方向に2か所、穴が開けられていた。プレスラグを使ったフレームなのにずいぶん凝った加工をしてあるものだと感心した。考えてみれば今時このような工作をしているものはない。若い人たちには分からないだろうと思う。コードをフレームに這わせないで、内蔵してすっきりと見せる工作なんて知らないだろう。ましてやコードをどうやって通していくのかの技術も持ち合わせていないと思う。



 そんなことを考えていたら、はたと気がついた。左ダイナモを持っていない。ディレーラーは100個を優に超えるくらい持っているのに、ライト系のコレクションはえらく少ない。ライトは2,3個くらいしかないし、ダイナモもハンガー下に取り付けるものが1個だけである。ある時期からロード系に傾向していったせいだと思う。世間でジョスだのソービッツと言っていた頃もライトにはあまり関心がなかった。タイヤやリムを押さえつけるダイナモよりバッテリーライトを好んでいた。唯一、トーエイにはサンヨーのハンガーに取り付けるダイナモを付けていた。とりあえず、ヘッドパーツを装着し、カセットBBを組み付けてみた。(135に続く)

第176回へ続く...

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