カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第145回

清ちゃんのコレクション(その33)サンプレックス・チェンケース



 レースや本格的ツーリングをやっている人達には無縁のもの、その一つがチェンケースである。ここに2つのチェンケースがある。両方共、フランスのサンプレックスのもので、アルミ板を曲げたものである。よく見てもらえば分かるが、形が違う。一番の大きな違いはフロントディレーラー用の逃げをとっているか、そうでないかという点である。一つはシングル用、もう片方はダブル用である。この形、フルのチェンケースと区別するためにハーフのチェンケースと呼ばれていた。



 MTBにしろ、ロードにしろ、本格的にレースをやっている人でも、時には息抜きの自転車が欲しくなる。コンビニに行くのにデュラエース装備のカーボンモノコック自転車では大袈裟すぎる。大方の場合、もう一台所有している。それがママチャリであったり、小径の自転車だったりする。もう少し趣味的な色合いを出そうとすると少し凝ったものになる。知人ではわざわざオーダーしたプロムナードを所有している人もいる。



 その昔、ロードマン時代の頃、一つの自転車を通勤・通学、休日にはサイクリング、夏休みにはツーリングと使っていた人も多いのではないかと思われる。学生服でスポーツ車に乗ろうとすると、どうしてもズボンのすそがチェンに当たり汚れてしまう。時にはチェンリングとチェンに挟まれ破ってしまう。母親から怒られた経験を持っている人も多いと思う。ズボンのすそを縛ったり、靴下の下に入れたりして乗る方法もあった。当時は今みたいなマジックテープのしゃれたものなどなかった。そんな時に役だっていたのがチェンケースである。



 今回のチェンケース、アウターは48Tくらいを想定して作ってある。フロントディレーラーは当時のサンプレックス、スライド式に合わせて作ってある。今ではチェンリングをカバーするチェンガードになってしまい、アルミ製のスポーツ車用チェンケースもあまり見られなくなった。かってはサンプレックスに限らず、スポーティなチェンケースが各メーカーからいくつも出ていた。中にはサンプレックスをフルコピーしたものもあったが、アルミ板が薄く、すぐに曲がってしまう粗悪品もあった。



 世の中を見ると、現在、意外にスポーティでエレガントなチェンケースがなくなってきていることに気がつく。普段あまり気にしていなかった部品ではある。自分自身、今になって気がついた。



 ところで今回のチェンケースを引っ張りだした時に、ウイングナットがたった一個だけ出てきた。フロント用で亜鉛ダイキャスト製のものだが、全く見覚えがない。マークはSOVA、もしくはSOUAと読める。片側には8の文字、これは金型番号と思われる。ゲート(湯口)がきれいに研磨されていないので、そう高級なものではないと思われるが、どなたかこのウィングナットについてご存知の方がおられれば、お便り下さい。

第146回へ続く...

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清ちゃんへのお便りをお待ちいたしております。