数日前、ロードレーサーに乗ったサイクリストが来店。シートピラーに取り付けるキャリアを購入、聞くと、沖縄から北海道まで行くという。キャリアを買ったのは背負っているバックが重たいからといった理由である。バックの重量は推定で15キロを超えている。いくら若いといっても、これでは疲れてしまう。体の自由がきかない。 |
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このような光景はこの数年、よく見かける。3号線や阿蘇にいけばロードレーサーに荷物を背負って走っている人がいる。一言、アドバイスをおくるとすれば、体には荷物は一切つけないというのが疲れを少しでも減らす秘訣である。ロードレースの最中でも、補給の食糧は重量を減らしておいた方が楽である。ましてや、ロードレースとは比べものにならない距離を走るツーリングで体に荷を付けていれば当然、動きが制限される。付けるとしたら、せいぜい、ウエストバックくらいだろうか? |
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どのようなツーリングをするかで、自転車も決まる。これはこれまで何度か書いてきたことである。同じ一週間のツーリングでも、野宿・自炊するのと、ビジネスホテルを泊まりあるくのでは荷物の量も変わってくる。後者であればロードレーサーでも構わない。前者であれば、同じロードレーサーでもエンドにダボが付いているものを選んでおくべきである。リヤキャリアがあるだけでも全く違う。普段乗っている自転車でツーリングという気持ちも分からないではないが、やはり用途に応じた自転車というものがある。 |
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少し考えてれば分かるが、重たいものは下方、中心にというのが原則である。このため、オートバイやクルマ(ミッドシップ)はエンジンをホィールベース中心にもってくるように設計されている。ところが自転車はそうはいかない。ハンガー部に荷物を置くことはできない。それではどうするか?前後に振り分けるのである。121回の安定性の項でも述べたが、安全・快適に乗るためには重量バランスも考慮しておかねばならない。前後のバランスもそうだが、左右のバランスにも気を使う。場合によっては旅の途中で荷物の入れ替えをしなければいけない事だってある。 |
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サイドバックも初心者は注意が必要である。慣れないと幅の感覚が違い、ガードレールに接触してしまって転倒という事もある。長距離旅行を安全に、快適にするには、それ相当の準備と費用はかかる。ママチャリで北海道までだってできないことではない。ただ、快適かというとそうではないはずである。目的がただ、北海道まで走ることだけなのか、各地の景色を楽しみながら走るのかでも装備や自転車は違う。 |
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先のロードレーサーに乗った青年、今頃は若狭あたりだろうか?長崎(アップダウンがある)を経て、背負っている荷物について考えたようで、熊本に来てキャリアを購入したとのことである。走っているうちにあれこれ考えるというのも、次の旅行のための勉強である。無事に宗谷岬に立つことを願っている。その頃にはラベンダーが咲き始めているかもしれない。 |