カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第121回

清ちゃんのつぶやき(その94)安定性



 高校生の自転車修理が持ち込まれた。転倒である。クラブ活動で前カゴに重たいスポーツバッグを載せている。そのため、人が飛び出してきた時にコントロールできなくて転倒に至ったものである。前リムがかなり曲がっている。高校によっては、このような事故が増えてから、後キャリア装着を義務づけ、重たい荷物やカバンはそれに積むように指導している所もある。確かに、重量バランスを考えると、前と後ろに振り分けた方が望ましい。



 これはツーリングの荷物にも言える。ちょっとした荷物だとフロントバックやサドルバックでいい。もう少し荷物が増えるとリヤキャリアが必要になってくる。リヤキャリアの上に積むわけである。更に荷物が増えるのならリヤのサイドバックが有効である。上に積むより重心が下がり、安定してくる。ジャイアントのグレートジャーニーのようにサイドバッグが4個付いているものであれば、重たいものはリヤに、軽いものはフロントにというのが理想的である。フロントは操舵輪、重たいものを詰め込むと先の高校生みたいな事故に結びつく。



 昨年、マスコミでも話題になった3人乗り自転車、お母さんと子供2人を載せるための自転車だが、各メーカー開発・申請をしているらしい。考えてみると相当に難しい。荷物と違って動くのである。自転車を安定させるにはホィールベースを長くして、子供を低い位置に乗せなければならない。メーカーによっては3輪タイプや4輪タイプのものまで考えているところだってある。子供乗せ自転車の難しいところは、走っている時の安定性だけでなく、子供を載せる時や降ろす時である。



 よく、片足スタンドのシティ車に子供乗せを付け、子供を載せたりしている光景を見るが、子供を抱え上げている時に子供の足が自転車に当たり、自転車が倒れたりしている。それより怖いのが、降ろす時である。お母さんが先に降り、子供を降ろそうかとした時、子供が動く、その瞬間、重心が高いせいもあって、お母さんの力ではコントロールできなくて子供を載せたまま転倒するのである。このため、警察や条例で子供にはヘルメットを装着させる事を勧めている。



 各メーカーが出している子供乗せ専用自転車はその点ではよくできている。さすがにロードレーサーに子供を乗せて走っている人は見かけないが、MTBやクロスバイクに乗せている人は時々見かける。昔、アメリカでも知人がやっていた。子供と一緒に走るのは楽しいが自転車が傷むと話していた。シートステーのダボの溶接が外れたり、エンド部のねじが折れたり、シートピラーが少しずつ曲がってきたりすると笑っていた。それはそうだろう、子供が小さいといってもツーリングの荷物よりは重たい。前輪が浮いたりする事だってある。その頃、日本の専用自転車があったならプレゼントしてあげれたのになぁ等と思い起こすことがある。

第122回へ続く...

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