会社ではティータイムの多さに驚いた。朝、出勤して一度、10時頃になると、もう一度、昼食後、3時頃、帰りがけとティータイムである。日本の工場みたいにベルやチャイムが鳴るわけではないので、こちらが働き始めても、まだ紅茶を飲んでいるセクションもある。仕事の進み具合が気になっても、現地のペースに合わせていくしかないということも悟った。 |
|
|
日曜は休みだが、街の商店街も休みである。ホテルもベッドメイキングで追い出される。ショッピングらしい、ショッピングもすることなく、公園や映画に行くことくらいしかない。スターウオーズやダーティハリーとかを見た。今は字幕スーパーを見なくとも分かるが、その時は映画を見てもあまり楽しめなかった。そうそう、笑うタイミングが日本人とは違うことも知った。映画館の中にも灰皿があった。前の座席の背に付いていて、映画を見ながら煙草を吸っても構わなかった。映画の途中で映画館に入る時は足元を照らす係がいた。日本とはあまりにも違っていた。 |
|
|
煙草と言えば、同じノッティンガム市内にはJPSという有名なタバコメーカーがあった。アイルトン・セナが新人の頃、黒に金色の線引きのF1マシンに乗っていたが、そのスポンサーメーカーだった。JPSのトラックが同じ色に塗られていて、かっこよかった。コーポレートアイデンティティがごく自然に行われていた。英国はタバコの国でもあった。エレベーターの中にも灰皿が備え付けられていた。 |
|
|
行った頃は2月だった。滞在は3週間くらいだったが、その間、晴れたのは2日間くらいしかなかった。毎日が曇り空である。北海からの黒い雲が次々に流れてくる。少しでも太陽が顔を見せると、車に乗っている人達はサンルーフを開けたり、幌を上げたりしていた。オープンカーやサンルーフが英国車に多い理由が分かったような気がした。 |
|
|
その後、帰国するものの、出来立ての成田空港には到着できなかった。ご存じのように反対派によって空港が占拠され、開港が遅れたためである。初めての海外、今の時代とはかなり勝手が違う。それでもこの時の経験は、国が違えば風習が違う、やり方も違う、ものの考え方も違う、それでも同じ人間。恩もあれば情もある。そんな事を肌で感じ取ることができた。海外に行くには言葉は最低限のコミュニケーション手段であることも痛感した。 |
|
|
海外旅行や働くために海外に行くべきかと悩んでいる人たちには、行くように勧めている。分かっているようでも、実際にその場に行けばいろんな事が違う。若ければ若いほど、そのような体験をすれば多くのものを感じ取ることができる。それが、その人の、その後の人生にプラスになると思っている。 |
|
|
肝心のラレーでの話は今回はない。タイトルだけ見て、長々と読み続けていた方にはがっかりさせて、大変申し訳なく思っている。この分、次回から取り戻したい。ただ、肌寒い冬の曇り空を眺め、昔の曲が流れてきたのが、妙に記憶を蘇らせただけである。 |
|