今回は国産のディレーラーである。もう40年程前になるだろうか?そんな製品である。まだ、カンパも鉄レコの時代である。サンツアーの上級製品でコンペティションというのがあった。これがレース用、トップノーマルである。片や、グランプリというローノーマルのものがあったが、これがツーリング用になっていた。コンペティション・ツインというのは、その点では中間に位置する。何がツインかというと、ワイヤーが二本分の長さ要るのである。 |
|
|
トップノーマルのディレーラーの場合、チェンをロー側からトップに移動させるにはスプリングの力だけに頼っている。今はチェンや歯先の改良が進んで、スプリングの力だけでもスムーズにチェンが移動してくれるが、昔はちょっとしたタイムラグがある場合があった。トップからローという時にはレバーを引いてワイヤーを引く力で確実に変速できる。それを引き上げる時、押し戻す時に利用しようとしたのが今回のディレーラーである。プルプル式とも呼ばれていた。 |
|
|
もちろんの事ながら、パンタ部にはリターンスプリングはない。使われているのはテンションスプリングだけである。パンタグラフ式以前のスライド式でよく使われていた方法である。ワイヤーはディレーラーからチェンステー、ダウンチューブのレバーに来て、そのままディレーラーに戻っていく。そのためにワイヤーリードやチェンステーのアウターストッパーも二本のワイヤーを通せるようになっている。 |
|
|
先日、シマノの展示会があり、電動変速も触ってきた。時代の進歩はある。スムーズな変速である。それを得るために先人はいろいろな努力を重ねてきた。今回のものは鉄の鍛造ものである。パンタグラフ式にはなっているが、スライド式の良さを取り込んだものである。時代がプルプル式を望んでいなかったのと、リターンスプリング等の改良でそこそこ性能があがってきたために、この方式はこれで消えていくことになる。 |
|
|
それにしても、ユーレーのディレーラーが10個くらい出てきた。カンパの時もそうだが、使っていた記憶は何となくあるものの、何で同じものが数個あるのか自分でもよく分からない。しかし、コレクションコーナーを書き始めて分かったことだが、リヤディレーラーだけでも100個はある。早いとこ、南阿蘇に個人博物館を作らねばと思う。先人の残したものを見れば、歴史が分かる。そうすると新しいものを違った目で見ることができる。歴史は今も作られている。その内、「昔は変速機を動かすのにワイヤーを使っていたんだって?」等と話す若者が出てくるのかもしれない。 |
|