カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第108回

清ちゃんのコレクション(その23)ユーレー・アルビー



 前回、ユーレーのディレーラーが出てきたと書いたが、全部パンタグラフ式である。現在、全てのものがこの方式になっている。シマノにしろ、カンパにしろ、電動になっても、本体が平行四辺形になっていて、左右に動く方式である。もう半世紀以上もこの機構、基本的には変化はない。そろそろ何か新しい方式が出てきてもいい頃かもしれない。



 近年のものでは、個人的にはスラムのディレーラーも好きである。古いものでは今回のユーレーも面白い。アルビーファンもいるくらいである。何が面白いかというと、その動きである。表から見ることのできる「甲冑」は動かない。その内側に守られたパンタグラフ部のみが動くのである。この甲冑、転倒や外部からの力に対して、相当丈夫である。そのため、ツーリストの間ではかなりの人気であった。40,50歳以上のランドナー派の人にはアルビーにお世話になった人も多いはずである。



 今と比べて、昔は道路の舗装率も高くなかった。二級国道になると未舗装路の所も結構あった。そんな所を走っていると、轍に前輪をとられたり、砂で滑ったりと自転車を転倒させる機会も少なくなかった。そんな時にアルビーだけはダメージを負うことなく、ちゃんと動いてくれた。そんなディレーラーである。ユーレーの製品を見ていても、この機構はアルビーだけである。他のメーカーもこれのコピーはしなかった。



 道路事情がよくなり、軽量化の波に押され、時代の流れに消えていくが、今、改めて見ると、この頃のユーレー製品、鉄板プレスの技術が高い。ズベルト等もそうだが、厚手のものや薄手のもの、硬めの材質、柔らかめの材質、それらに応じた技術をもってプレスしてある。曲がり部の皺など見あたらない。時代がアルミのものになって、ジュビリー等も出すようになり、その技術を発揮できなくなってきたが、なかなかのメーカーだったと今になって感じる。




第109回へ続く...

目次

清ちゃんへのお便りをお待ちいたしております。