カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第59回

清ちゃんのつぶやき(その47)エンド部



 コレクションでカンパニョロ・スポーツマンの事を書いた。今はカンパでさえ、横型ディレーラーになってしまっているが、十年少し前までは外国製は縦型、国産は横型と決まっていた。横型になってしまったのは変速性能をあげるためである。スプロケット歯先とガイドプーリーを近づけた方が変速しやすい。このため、縦型ディレーラーを作っていた各社、工夫をこらしていた。このあたりは別の機会に述べたい。



 今でも縦型には美しさがあると感じる。ディレーラーそのものではなく、フロントチェンリングから延びるチェンのシルエットである。ツーリング車であれば上と下のチェンが平行になる、あの四角い空間である。レーサーだと少し絞まってくるが、この空間に魅せられて外国製ディレーラーを使っている人は当時も結構いた。



 ただ、外国製ディレーラーを使う場合、そのメーカーのエンドを本来、使わなければならない。理由はエンドの硬さが違うためである。当時、よくあったのが、国産ディレーラーを装備した完成車を買って、後から外国製ディレーラーに変えての失敗である。取り付け穴の規格は同じである。当然、取り付く。ところが車輪を外す時にディレーラーが首を振ってくれない。何度も繰り返していく内に取り付けボルトが緩んでいく。



 なぜこのような事がおこるのか?エンドの硬さがなぜ違うのか?これが縦型と横型のディレーラーの違いである。自転車が転倒した場合、縦型ではパンタグラフ部が力を逃がしてくれることが多い。ところが横型では斜め下からの衝撃を吸収せずに、エンド部に力が集中する。同じ硬さのエンドを使えば横型の場合、エンドが曲がったり、折れたりすることが多い。そのため国産エンドの場合は少し柔らかめになっているのである。



 ロードエンドの場合、昔は車輪の前後位置を調整するためにアジャスターボルトがついていた。これがよく曲がったり、折れたり、ナットの頭をなくしたりしていた事を思い出す。先日、何のために付いているのか?と質問を受けたが、後車輪を交換した場合、歯数が変わった時の変速機の角度を調整するためのものである。若い人達には理解できないのも無理からぬことである。



 考えてみれば、フロントの組み合わせが決まってしまっている今では、リヤスプロケットで調整したりする事が多いが、かってはレースのコースやその時のコンディションによってフロントチェンリングを52Tから53Tにしたり、51Tにしたりもしていた。インナーも42Tだった。よくこのインナーで走っていたものだと今になって感心する。

第60回へ続く...

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