前回のデータブックだが、店に置いていると興味を持って見ている方も多い。ちなみに「CAMBIO 工房」で検索してみてコンタクトをとれば入手できる。あくまでも自費出版なので部数が限定されるので、欲しければ早めの方がよさそうである。と云った事で、今回は昨年末にあれこれやっていた中の一つ、アンカーで作ったロードの話。 |
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オーナーはKさん、中年男性である。昔は自転車少年だった方である。最初に欲しい自転車のイメージを伝えられた。現在、入手できるもので少しクラシックな感じのロードバイクを作りたいという事だった。イメージされる自転車は、年代も近いせいもあり、非常によく理解できた。フレームはアンカー、ネオコットのクロモリフレームである。アンカーはダウンチューブにあるロゴマークがないものを指定できる。ただし、ヘッドマークだけは付く。それによって、シンプルなフレームになる。 |
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フレームをオーダーしたまではよかったのだが、ヘッドはアヘッドのみである。オーダー前にアンカーの方にスレッドにできないかと電話で相談するも、現在はできないと云う事だった。クラシックのイメージでアヘッドはない、そこでCPのフロントフォークを捜してみると、あった。タンゲブランドのものである。さすが老舗問屋、同じタンゲのヘッドパーツも注文しておいた。残るはその他のパーツである。 |
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全体のグレードはシマノ105クラスである。このクラスで全体を仕上げる。ただ、色が問題だった。今回、極力、黒色パーツを使わないという事でディレーラーとハブ、それにブレーキ本体だけは105のグロッシーグレーで我慢してもらった。ハンドルやステムはニットー、チェンホィルはスギノという風に少しずつ決めていった。変速レバーはSTIを使わないダブルレバーである。しかし、簡単に思えたこの過程でいろいろと出てくるわ、出てくるわ・・・ |
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先ず、リムだった。良いリムというのがない、あるのだが使いたいリムがことごとく黒色になってしまっている。あれやこれやと捜しまわったあげく、アラヤに落ち着いた。次がチェンホィル、スギノに決めていたのだが、50x34Tでオールシルバーと云うのがない。一つだけある事はあった。マイティツアーである。ただBBを含めていくと思ったより高額になってしまう。 |
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そこで問屋さんと何度かファックスのやり取りをする。そこで提案されたのが、アウターを48Tにすればという事だった。リヤトップは12Tにする事にしていたので、ギヤ比が4.0、Kさんの乗り方、使い方を考えればそれで充分である。そこで48x34Tに落ち着いた。そんな事をやっている内にフレームも届き、フロントフォークを交換した。車輪も組み、チェンを張る。ここで面白い事に気がついた。リヤは10段、操作するレバーはダイヤコンペの旧サンツアータイプのパワーレバー、デュラエースのインデックスの10速レバーを使う手もあるのだが、単なるダブルレバーで1万円を超える。たかがレバーである。昔の価格を知っていると、ぼったくり価格のような気がする。 |
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そこでノンインデックスレバーなのだが、10速ともなると、どこに動かしてもカリカリ感がない。これは何度も試してみたが、スムーズにいく。ひょっとしたら我々はインデックス神話に洗脳されてしまっているのではないかとも思った。インデックスが必要だったのは6,7段の時代であって、10段にもなると歯間は縮まり、チェンだって薄くなる。それにディレーラーのガイドプーリーも左右に少し動くようにしてあるせいもあって、今は必要でないのかもしれない。 |
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あまりに正確にスプロケット歯の真下にガイドプーリーを持っていこうとする事により、段数が増えるに従って、無理な設計や精密な加工をしなければならず、高額で握りにくいレバーを作る結果になっているのではないか?10速や11速をノンインデックスのコマンドレバーで動かしてみれば結論が出るのかもしれないし、今後の変速操作に関しての新しい方向が見えてくるかもしれない。 |
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今回の自転車でインデックスに関して一番勉強させてもらったのはこちらの方だった。他にも部品選択で悩んだり、考え込んだ事もあったが、そんなこんなで年末には納車する予定が、直前にタイヤの変更もあって納車は1月にずれ込んでしまった。納車時のKさんの笑顔が印象的だった。どうやらイメージ通りの自転車になったようである。 |