カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記

これまでの日向往還

札の辻−上野
(その1)
(その2)

上野−矢部
(その1)
(その2)
(その3)


第305回

清ちゃんのつぶやき(その248)日向往還 矢部−馬見原(その1)



 とにかく暑い日が続く。この暑い中、矢部から馬見原へと向かった。矢部の方はロードでもよく走っていた。ところが夏だと日射しが照りつけていても、どこからか雷の音、え?と思いながら走っていると、ものの5分も経たないうちにいきなり真っ暗になって土砂降りの雨と云う事がこれまでにも何度かあった。山の天気はよく変わる。今回も似たようなめにあってしまった。


地蔵坂



 さて、矢部の街から出る時に坂がある。地蔵坂と呼ぶのだそうだ。短い坂だがそのまま過ぎると国道を跨ぐ。国道は堀切道、昔は単に山だったのだろうと思う。それからは放牛地蔵を右に曲がり進む。昔の街道、単なる一本道ではない。日向往還も同様で、途中で二手に分かれ、先で繋がるといったルートが何か所かある。片方が古く、片方が新しいといった場合もあるし、片方が増水やら土砂崩れ等で通れなくなった場合、もう片方を使えるようにしてある場合もある。


行き止まり


聖滝
 今回も聖橋に至るまでに2つのルートがある。道を左にとって県道を横切って進むが何か違う。最終的には道は見つけたのだが通行不可、行き止まりである。地図上には線が引いてあるが、実際は通れない道(道になっていない)がよくある。そんな所には地図に小さなX印でも付けてあればと思う。結構、これで時間を喰ってしまう。さて聖橋からは山道、坦々と進んでいく。小さな集落を通り、道標に従って行くとやがて男成神社の参道が見える。ここらあたりで天気雨、地図を濡らさないように木陰で止むのを待つ。


男成神社近く


茶畑分岐
 山道を走っていても、水溜まりがあり、昨夜も降った痕が残っている。今日も太陽が出てはいるが、急に曇ったりして降ってくる。幸い、長時間降ったり、土砂降りになったりすることはない。地図上ではもうすぐ今日の目玉(?)にお目にかかれそうなのだが、分岐に来て迷う。右だと茶畑、左だとシイタケ栽培の林、真っ直ぐだと雑草が茂っている草むらである。茶畑も少し探索するし、林の中も少し歩いてみた。どうも違う、そう思って一旦、分岐の手前まで戻り、地図と磁石で確認してみる。どうみても真っ直ぐである。意を決して、分岐の所に行き、膝までの雑草の中の暗い道を進んでいく。


トンネル手前の下り
 幸い、雑草はなくなるものの、雨で泥濘んだ山道である。木の枝だの葉が泥に混じり歩きにくい。下りで滑りそうになるし、何度か滑った。自転車など持ってこなきゃよかった。それでも道が崩落しているような所を下っていくと・・・あった!見えた!山屋トンネルである。そう、今日はこれが見たかったのである。九州の街道・往還の中で唯一のトンネル、それも手掘りである。手掘りにしては大きい。馬車などが通れるようにしてあるのだろう。


山屋トンネル
 こんなものを機械なしで作るなんてすごい。それでも、ちょっと不思議に思ったのが少し上に山の稜線が見える。これまでのルートを考えていくと、上にそのまま道を作ればいけるのではないかと思った。でも実際、トンネルがあるという事は何かしら作らなければいけない理由があったのだろうと思う。それにしても、山の中のトンネル、誰一人いない。ちょっと不気味な感じもする。短いのが幸いだが、夜だと絶対通りたくない。


旧国道出口
 とにかくトンネルを抜けると下りの山道、旧道に出る直前なんて獣道である。出た所に案内板、こちら側から来ても草が生い茂っているだけで道には見えないだろうと思う。御岳小学校前を横に見て川に沿ってから国道を横切る。やっと自転車に乗れたと云う満足感がある。これから先は店も自動販売機もない道がずっと続くはずである。



第306回へ続く...

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