カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第277回

清ちゃんのつぶやき(その225)セカンド・グレード



 世にセカンド・グレードとかセカンド・グループと呼ばれる商品がある。トップグレードの次にくるグレードのことである。自転車ではプロが使うような看板車種のすぐ下に位置するアマのトップが使うような車種の事である。パーツのコンポネントだとデュラエースの下にくるアルテグラ、スラムだとフォース、カンパだとコーラスといった具合に上級グループの1ランク下に位置するものである。昔からそうだが、最上級のものよりこれらが好きといった人も身の周りにたくさんいる。 



 理由はさまざま、上級のものは純レース用として作られているために選手だといいが、レーサーではない自分にはもったいないとか云うものである。それに本当は上級のものが欲しいのだが、予算がないといった経済的な問題で選ぶと云った人もいる。そしてセカンド・グレードしか持っていない、その個性が好きという人も少なからずいる。



 私、個人としてもセカンド・グレードのものは好きである。カンパのレコードを使っていた頃も国産仕様(別にセカンドというわけではないが、当時の気持としてはセカンドだった)のロードを持っていた。今は何だかしらないが、単に上級もののグレードダウンで、特徴あるコンポが少なくなったが、以前はセカンド・グループにしかない個性というものがあった。



 今は亡きサンツアーのコンポでもシュパーブの下にスプリントや後期のGPXがあった。スプリントなどはシュパーブの細い線に比べ、シャープなデザインで好きだった。GPXにしてもシュパーブとは違う柔らかでいてカチッとしているデザインで好きだった。選手でもスプリントを好んで使っているのがいた。個人的にもスプリントの仕上げを良くして、シュパーブの名で出した方がいいのではないかと思っていたほどである。 



 当時のシマノの600(今のアルテグラ)だってデュラエースとは一線を画すデザインだった。7400の頃である。シャープなデュラ、ソフトな600と云った感じだった。その頃のカンパと言えば、逆に見ための格差がはっきりしなくて、製品にレコードだのコーラスだのの名を入れないものになっていた。見栄えを良くするためにチェンホィルはレコード(5アームの内の1本をクランク裏に隠すのですぐレコードだと分かる)、その他は下のグレードを使った自転車を見ても一見、我々でさえも気がつかないくらいだった。



 今、市場を見渡すに、昔に比べグレード別の個性がなくなっている事に気付く。時代の流れかもしれない。グレード別、製品ごとに金型を起こしていては膨大な費用がかかる。これは今のクルマにも言えるがシャーシ(クルマの基礎;土台)を共通にしてさまざまな車種を作る事で開発や生産コストを抑えることができる。共通の金型を使う事でコストを抑えた商品が手に入るわけだから消費者にとってもありがたい事である。自転車でも上級デザインのものが仕上げや材質を少し変えただけで安く買える。それでも昔を知っている者にとっては何となく寂しい感じがする。



第278回へ続く...

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