前回、チェンホィルをトリプルに交換した事を書いた。これまでダブルで2枚のギヤ板(チェンリングの事:以下ギヤ板と用語を統一する)だったものが3枚になったわけである。単にチェンホィルの内側に1枚ギヤ板が増えただけなのだが、これがくせもので、そのままダブル用のクランク軸に取り付けると変速性能やチェンの音鳴り、それに耐久性にも関係してくる。更にはQファクターと呼ばれる左右ペダル間の距離にまで影響が及んでくる。これらを少しでも解消しようとすると“チェンライン”という問題に突き当たる。 |
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チェンラインという用語をご存じだろうか?前後のギヤを1本のチェンで結び連結する。その場合、チェンが真っ直ぐに一本の線になる方が力の伝達効率がいい。チェンラインというのは機械用語であるが、機械でチェンラインと云うのは一本の直線である。ところが自転車の場合、ちょっと違う意味合いを含んでいる。それはチェンをねじって使うという、機械屋さんから見ると特殊な使い方をするためである。自転車では上から見て、フレームの中心線からチェンの中心までの距離を一般的にチェンラインと呼んでいる。 |
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ママチャリのように前のギヤが1枚、後のギヤも1枚というのであれば前後のチェンラインは同じである。ここで少し混乱を避けるためにフロントチェンライン(以下:FCL)とリヤチェンライン(同:RCL)があるという事を頭にいれておいて欲しい。雑誌やマニュアル、数々の指南書にはこのチェンラインという用語が混乱して使われていることが多い。スポーツ車となるとギヤ数も増えていろいろな問題が生じてくる。それは先に書いたチェンをねじって使うという特殊用途からである。 |
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本文に入る前にチェンラインとは厳密に言えばどの寸法なのかという点に触れてみたい。フロントであればダブルの場合、アウターとインナーのギヤ板の中間点からフレームの中心までだろう?という答えが返ってくると思う。厳密に言うならばアウターの歯先とインナーの歯先の間であり、板と板の間ではない。ギヤ板をよく観察してほしい。歯先は板の中心にあるとは限らない。よくチェンラインの計り方で計算式が載っているものを見かけるが、その点を考慮していないものが多い。リヤは特に問題にはならない。11段であれば下から数えて6番目、上から数えても6段目の歯先からフレーム中心までの距離である。 |
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雑誌等ではFCLとRCLを同じにしなければならない等と書いてある。確かに理想から言えばそう思えるが、現実には違う。アウターとインナーからリヤに(仮に先に書いた6番目の歯としよう)延びるチェンの角度は違う。小さいインナーの方が角度は緩やかになる。逆にアウターから伸びるチェンの角度は大きくなる。この角度の差のためにフレームや部品の設計者は苦労するのである。 |
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少し文が長くなりそうなので続きは次回。 |