F1レースが開幕した。日本人レーサーの佐藤琢磨にも期待がかかる。ご存知の方も多いと思うが、彼は自転車の選手であった。高校時代はクラブチームで、大学時代はインカレでその才能を発揮し、数々のレースで好成績をおさめている。TVCMでデローザに乗っている姿を見た方も多いと思う。普段も自転車に乗ってのトレーニングをしている。今年は頑張ってほしいものである。 |
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F1ドライバーの顔ぶれを見て、気が付くことは、眼鏡をかけている選手がいないことである。時速350キロを超える速度でピットサインを見るほどの動体視力を持っていなければならないのだから眼はよくなければならない。他のスポーツでもトップクラスの選手で眼鏡をかけている選手はほとんどいない。野球の古田選手は例外中の例外である。眼の良さはスポーツ選手においては最低条件である。 |
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それに歯。陸上の高橋尚子を見ても歯並びはいい。陸上といえば、短距離日本代表の末続選手がいる。彼は九州学院高校時代は”カガワの自転車健軍店”のお客さんであった。初めて会った時、良い眼と歯並びを見て、「スポーツやってる?」と聞くと「はい、陸上をやってます」と答えた。「速いだろう?」「はい、自分は速いです」えらく自信をもったやつだなと思ったが、トップクラスの選手の肉体的条件を当時から備えていた。 |
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トップクラスの選手の肉体的最低条件は眼と歯であるが、トップになるには、更に”運動センス”というものが加わる。絵画や音楽の芸術、服の着こなしでもセンスのいい人はいる。努力しても補えないものがある。ちょっと教えると、めきめき頭角を現す選手がいる。どんなスポーツにも言えるが、表彰台に立つ三人なんて、実力の差など、ほとんどないに等しい。最後に勝敗を決めるのはセンスと少しばかりの運である。 |
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更に世界の頂点を目指す選手になるには”人格”というものが加わる。えっ?と思われる人がいると思う。何で人格が必要?野球やサッカーのチームプレーにおいては統率力を高めるために必要かもしれないが、自転車やマラソンみたいな個人プレー競技では要らないのでは?等と思われるかもしれない。試合を見ていても、走っているのは一人である。でも、それを支えているスタッフがいる。F1でもピットの作業ひとつで勝敗が逆転する場合がある。自転車でもマラソンでも、世界の頂点にたつには、コーチや監督、メカニック、マッサージ、役員等、周囲のスタッフがいるわけである。一人だけでは世界の頂点に立つことはできない。周囲のスタッフがベストな状況を作ってくれている。そのためにはそれらを引き付ける、魅力ある人格が必要なのである。トップクラスの選手には”いいやつ”が多いというのは、そんな理由からである。 |
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眼も歯も悪いあなた、運動センスもないあなた、心配はいらない。世界を目指さなければいいのである。草レースや仲間との走りを楽しめばいい。でも、人格だけは頭にいれておいてほしい。これは社会でも役に立つ。自己中心的な性格や意地悪な性格等のマイナス性格は人を集めない。”いいやつ”であれば人は寄ってくる。そのような人達があなたを支えてくれるし、人生を楽しませてくれる。要はネアカな人間になることである。それで人生が楽しめるし、スポーツが楽しめる。 |
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これまでいろいろな選手と会った。そして、頂点をめざす選手に共通して感じることは”いいやつ”が多いことである。そうして、そのスポーツを本当に、心から好きだ、心底楽しんでいるということを感じ取れることである。 |
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「好きこそものの上手なれ」、それが頂点にむすびついていきますよ。 |