カガワの自転車
清ちゃんの
オーバーホール日記



第216回

清ちゃんのコレクション(その41)カンパニョロ・ワイン抜き



 台所のどこかに置いていたワイン抜き(正確にはワインのコルク栓抜き)がたまたま、見つかった。BIGと書いてある箱に入っているものはご存じ、カンパニョロのワイン抜きで、これは通常“ブロンズ“と呼ばれる。ご存じの方も多いと思われるが、ブロンズの他にゴールドもある。これなどは本当に金メッキされて価格も高い。本国では高級食器店のショーウインドウに飾ってあったりする。



 左右に開くレバーの要にチェンリング用のボルトナットを使っているところがカンパニョロらしい。全体的に見てもイタリアンデザインである。ワインに被せる部分などはカンパニョロらしいデザインと言える。先代チューリオ・カンパニョロ氏はこの他にくるみ割りも発売している。当時のカタログを見てもロケットが載っていたり、クルマのホィールが載っていたりして手広くいろんな商品を作っていた。どこのロケットのどの部分を作っていたかは知らないが、ホィールは以前のシビックに付けていた(マグネシウム合金製)。FF用なのでプレーンなデザインのものだったが、FR用の大きいインチサイズのものはカッコ良かった。そう言えば当時のダイハツのシャレードにモモ・カンパニョロ仕様というのもあった。



 さて酒には縁のない(下戸である)私がなぜこのようなものを持っているのかと言えば、このブロンズ、貰いものである。今のカンパニョロ社長、ヴァレンチノ・カンパニョロ氏が社長に就任した時の披露パーティー(80年代だったと思う)で招待者にプレゼントされた。パーティー終了後、出口で新社長が一人一人に握手し、手渡されたものである。グリーティングカードか何か添付されていたような気がしたが、今回見つけた時にはなかった。あれば絶対に捨てるような事はしないので、あるいはどこかに仕舞っているのかもしれない。



 貰ってもワインはおろかアルコール類を飲まないので、少しばかりワインを嗜む両親にでも送ってあげようかと思った。ところが梱包しているうちに何だか勿体なくなってきた。これはこれで持っておこうと、新しく日本で購入し実家に帰省時に持っていった。使ってみると力が要らず簡単に栓が抜ける。流石にカンパニョロだと感心した。今でこそ同じような機構のものは数多くあるが発売当時はかなり斬新だったと思われる。



 久々に引っ張り出して眺めていると何か懐かしささえ覚える。時代がよかった。今、このような遊び心を持って製品を作っている企業がどのくらいあるだろうか?生産予定に合わせ黙々と作業をする現場、派遣社員なんて単なる労働力の計算にしか考えない企業、売れるものしか開発できない企画・開発部、皆、何か余裕がない。もちろん、企業は利益あっての企業である。ただ、目先の一円、一銭を切り詰めたりするだけでなく、会社としての余裕、ゆとりといったものを感じさせる、そんな製品作りも逆に、今の世の中、必要ではないかと思う次第である。






第217回へ続く...

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