先週の新着情報でも紹介されたように、クロモリフレームの自転車がこのところ、いろいろと目立つ。前回でも書いたが、細身のフレームが醸し出すシルエットが今の変形極太アルミフレームを見なれた目には新鮮に映ること、そして、スチールチューブの材質の発展も加味されているからだろうと思う。 |
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アルミフレームの歴史は古い。ただ、今のようなアルミフレームになったきっかけの一つにはイタリアのアランの存在もある。ロードレーサーはクロモリという時代にアルミチューブを接着で作る、独特の存在感があった。フランスやイタリアに行ってみると分かるが生活用品がアルミで作られているということが多い。日本だとプラスチックで作られる食器類がアルミ製というのも目立つ。 |
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ラテン系の人々は速いものが好きなのか、フランス辺りはクルマやオートバイ、飛行機や鉄道に至るまで世界最高速を求める傾向にある。ルマンやツールドフランスのような耐久レースも好きである。同じ馬力なら軽い方が速い、そんな考えなのか、軽量化に関しても昔からいろいろアルミが使われてきた。アルミエンジンやその他のパーツ、なくなってしまったのがコンコルド、新幹線より速い鉄道、本当に速いものが好きである。アルミの材質そのものの研究も早かった。自転車も例外ではない。PIVOのステム等見ても、昔からアルミ部品に関心を持っていたことが分かる。 |
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話を元に戻して、アルミフレームが今のようになった一番のきっかけはMTBブームだと思う。アメリカで発生したMTB、過酷な使い方をされる自転車に強度も増していく。軽量化も要求される。そこで航空機産業が発達しているアメリカでキャノンデールやクラインといったところがTIG溶接でアルミフレームを作りだした。最初は好奇な目で見ていた人たちも、少しずつアルミに注目していく。オーバーサイズという言葉も生まれた。MTBの太いタイヤにもアルミフレームの太いチューブはマッチしていた事もあるのだろうと思う。 |
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やがてアルミフレームはロードレーサーにも進出していく。MTBで剛性を培ったアルミフレームはロードレースでも活躍することになる。ツールドフランスに出場するチームのスポンサーにもなり、ヨーロッパにも進出していく。その後は皆さんご存知のとおりである。今、各社で工夫された油圧変形チューブが絶頂期だが、逆にある程度、行きつく所まで行っているのではなかろうか?そんな感じを受ける。そこで注目されてきているのがスチールチューブかもしれない。 |
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金属とは面白いもので、極わずかな添加物でその性質が変わってしまう。同じアルミでも成分によって1000番から7000番まで様々な種類がある。8000番以上がないのも将来、さらなるものが出てくる可能性を秘めているからである。スチールも同様、レアメタルであるクロムとモリブデンを少し添加しただけで、従来の炭素鋼に比べると比較にならないほどの性質を持つ。まだまだ将来性がある。自転車にも必要な剛性と適度なしなやかさを両立した材質のフレームを求めて各社、開発しているのだろうと思う。09モデルは出揃った。来年、再来年に向かってのモデルがどうなるのか、今から楽しみである。 |